2019.03.22
製薬
「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」の概要とチェックポイント
2018年12月、厚生労働省から「医薬品の適正流通GDP(Good Distribution Practice)」のガイドラインが発出されました。このガイドラインは、これまで明確な管理基準がなかった医薬品の輸送や管理に関して、一定の品質を保持するための基準を定めた内容となっています。
この記事では「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」の概要について解説していきます。
「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」とは
医薬品の管理を1つ間違えれば、人命を脅かすほどの大きなリスクを生じることがあります。医薬品の品質を守るためには、製造時の厳重な品質管理だけでなく、輸送中や保管中の劣化や盗難を防ぐ管理が必要不可欠です。
WHO(世界保健機関)には既存のGDPガイドラインが存在しており、EUでは既にGDPが法的な規制対象となっています。この流れに従い、日本国内でも2018年12月28日付で厚生労働省医薬・生活衛生局より「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」が正式に発出されることとなりました。
GDPで特に注目すべきポイント3つ
国内にはこれまで、医薬品の保管や輸送の条件を管理するための明確な基準というものはありませんでした。「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」では、製薬企業や医薬品卸売業者が医薬品を出荷したあともその品質をキープできるよう、管理方法を定めています。
具体的には、輸送時や保管時の温度管理や流通管理偽造品流入防止策などが盛り込まれています。
1. 医薬品の品質管理
GDPで最も重視する点は、医薬品の流通過程における品質の確保といえるでしょう。
医薬品には厳重な保管温度管理が必要なものや、冷所保管が定められているものが多くあります。輸送中や保管中は、どれだけ管理を徹底していても温度逸脱や製品損傷は避けられません。
GDPの基準があれば、温度逸脱や製品損傷があったときにその時間や回数などの状況を調べ、適正に対処することが可能となります。
2. 流通過程の管理
GDPには医薬品の品質管理に加えて、セキュリティ面の管理に関する取り決めも盛り込まれています。海外では医薬品が盗難に遭い多大な被害が出た例もあり、ときには自主回収を余儀なくされるなど、医薬品の盗難は重要視するべき問題です。
医薬品を輸送、保管する過程では多くの業者が関与するため、その管理には一貫したルールが必要です。
3. 医薬品の偽造対策
「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」は、偽薬の疑いのある医薬品の輸送や販売を停止するよう定めています。
偽造医薬品とは、本来の医薬品と異なる成分が使われたものや、誤ったラベル表示をしたものを指します。万一のトラブルに一貫したルールで対応するために、偽造医薬品に関するガイドラインが作られています。
「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」は、医薬品を輸送や保管する際の劣化を防ぎ、品質を確保するための基準です。
あくまでガイドラインであるため拘束性はありませんが、将来的には省令化もあり得ると考えられていることから、関係する企業や団体は、その内容を熟知した上での対応が必要であるといえるでしょう。