人材に関する問い合わせ、ご相談はRDサポート人材派遣

INDUSTRY COLUMN

業界向けコラム

2018.10.31

バイオ

ノーベル賞受賞で話題のがん免疫療法とは


従来のがんの治療法は、外科治療(手術による治療)、化学療法(抗がん剤などの投薬による治療)、放射線治療(放射線をあてることによる治療)の3種類でした。しかし近年、第4の治療法として「免疫療法」というのが注目されています。

 

免疫療法とはどのような治療法なのでしょうか。ここでは、免疫療法がどのようなものか、またノーベル賞受賞で話題になっているオプジーボとはどのようなものかご紹介します。

免疫療法とは

免疫療法とは、人間がもともと持っている免疫システムによってがん細胞を排除するがんの治療法です。
 
免疫には体内に侵入した異物を排除するという働きがあります。この働きを利用し、がん細胞を排除させるのですが、免疫療法では、この免疫システムの能力を高める手段が用いられます。
 
免疫療法自体は1990年代以前からありましたが、この頃のものは非特異的がん免疫療法と呼ばれており、体全体の免疫力を底上げしがん細胞を排除しようとするものでした。そのため、進行中のがん細胞に対し単独での有効性がなく、場合によってはがん細胞以外の細胞にも影響を及ぼすという課題点がありました。
 
それが90年代に入ると、がん細胞のみを攻撃するためのメカニズムが明らかになり、「正常な細胞に影響を与えることなくがん細胞だけを攻撃する」という「特異的がん免疫療法」が可能となったのです。
 

免疫療法には2種類ある

免疫療法には2種類あります。ひとつめが「がん細胞を攻撃し、免疫応答を亢進する免疫細胞を活かす治療法」で、もうひとつが「免疫応答を抑制する分子の働きを妨げる治療法」です。前者は、免疫の活動をより活発化させるもので、後者は、免疫の働きを妨害する分子の働きを抑制するものと考えればいいでしょう。
 
2018年にノーベル医学生理学賞を受賞した、本庶佑さんのオプジーボは、免疫の働きを妨害する分子の働きを抑制するものです。
 
次項で、オプジーボの働きについてご紹介します。

オプジーボとは

オプジーボとは、前項で紹介した「免疫の働きを妨害する分子の働きを抑制する」、免疫チェックポイント阻害薬です。2015年12月に肺がんへの適応拡大が承認され、2018年にはオプジーボの研究をしていた本庶佑さんがノーベル医学生理学賞を受賞したことで注目されています。
 
免疫細胞は活性化しすぎると、自己の細胞を攻撃する自己免疫反応を起こします。その自己免疫反応を抑制させるため、免疫細胞の表面には免疫反応を抑制するための分子が備わっているのですが、これがブレーキとなり免疫機能をフルに活かせなくなることがあるのです(このブレーキ役を担うのが免疫チェックポイントと呼ばれるものです)。
 
また、がん細胞には免疫チェックポイントに働きかける分子を持っており、免疫反応を起こさせないようにします。それにより、がん細胞が免疫細胞によって除外されにくくなってしまうのです。
 
それらの分子が免疫チェックポイントからブロックし、免疫細胞の機能がフルに活かされるよう働きかけるのが、免疫チェックポイント阻害薬のオプジーボです。
 
免疫チェックポイント阻害薬には、オプジーボのほかにもキートルーダ、ヤーボイなど複数あり、副作用などが少ないということからも、今後のがん治療の可能性を広げる存在として注目されています。


不治の病として恐れられているがん。オプジーボはすべてのがん患者に有効な特効薬というわけではありませんが、今後も研究が続けられ、いずれすべてのがんに有効な薬になるのではないかと期待されています。
 
いずれ、がんは必ず治る病気になる日が来るかもしれませんね。


人材に関する問い合わせ、ご相談はRDサポート人材派遣

TOP