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INDUSTRY COLUMN

業界向けコラム

2018.12.14

化粧品

欧米では規制され始めているマイクロビーズが環境に与える影響


歯みがき粉や洗顔料などに入っていることがある「ツブツブ」。

スクラブ製品というもので、一時期多くの歯みがき粉に採用されていました。

 

しかし、そのスクラブ製品の一部に、環境に悪影響を与える「マイクロビーズ」が使用されていたとして問題になりました。

 

ここでは欧米諸国では使用が規制され始めているマイクロビーズについてご紹介します。

 

マイクロビーズが環境に与える影響

マイクロビーズとは、洗顔料や歯みがき粉などのツブツブの材料になっていることからもわかるように、非常に小さなプラスチックのことです。

 

マイクロビーズ自体が強い毒素を出したり持っていたりするわけではありません。マイクロビーズには殺虫剤に近い毒素や重金属の有害物質、そして汚染物質を吸着するという特性があり、結果として危険な物質になってしまうのです。

 

歯みがき粉と一緒に下水を流れ川へ出て、海へ放出される頃には、マイクロビーズは小さな毒の塊のようになっています。そしてその小ささ(動物プランクトンほどのサイズ)から、魚たちがマイクロビーズを食べてしまい、その魚を私たち人間が食べてしまいます。

 

つまりマイクロビーズが与える環境への影響は、いわゆる自然環境といったものにとどまらず、私たち人間の生活する環境にも大きな影響を与えてしまうものなのです。

アメリカでは全面的に禁止された

マイクロビーズは非常に小さい物質であるため、海へ流れ出てしまえば回収はほぼ不可能です。回収が不可能で、しかも人体や自然環境に危害を加えるものですから、多くの国々がマイクロビーズの規制に力を入れ始めています。

 

アメリカでは、2015年12月28日、当時の大統領バラク・オバマが「マイクロビーズ除去海域法」という法案に署名し、マイクロビーズの販売や製造を全面的に禁止する法律が成立しました。

 

2017年7月にアメリカではスクラブ製品(マイクロビーズを利用したもの)の製造が禁止され、2018年6月には、全面禁止になりました。もうアメリカではツブツブ入りの歯みがき粉は購入できません。

日本でも利用の自粛が広がる

日本にはまだマイクロビーズを規制する法律が存在せず、スクラブ製品が数多く店頭に並んでいます。しかし、国が変わろうがマイクロビーズの危険性は変わりません。特に四方を海に囲まれ、魚を頻繁に口にする日本人にとって、マイクロビーズは大きな脅威になり得ると言えます。

 

日本のパーソナルケア企業に大手である花王は、「2016年末までにマイクロビーズを代替素材に切り替える」と発表し、実際2016年末までに切り替えに成功させました。

 

世界でもトップクラスのパーソナルケア企業、花王の取り組みは、マイクロビーズによる環境被害の縮小に大きな力を添えることでしょう。

現時点の日本では、マイクロビーズの販売を少なくするにはそれぞれの企業の倫理観に頼るほかありません。マイクロビーズの危険性を考えると、日本もアメリカのように行政レベルでの規制をすることが望ましいと考えられます。

 

マイクロビーズが利用されない、人体にも環境にも悪影響を及ぼさない安全な商品が世界に広まるといいですね。


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