藤本　和代さん（ふじもと　かずよ）

私は“いい歯車”でありたい。14年間同一企業で働き続ける派遣社員の仕事の極意

RDサポートには、それぞれの派遣先でイキイキと活躍するスタッフがたくさんいます。その中のひとりが、今回登場する藤本和代さん。

 

藤本さんは2005年に大手製薬会社で就業を開始し、そこから14年間、同一企業で働き続けています。それだけ長期間働き続けられるのも、藤本さんが周りから信頼を得ている証拠。

 

今回は、藤本さんが普段仕事をしている上で心がけていることを聞きました。

 

 

 

正確なデータを取るために大切なのは、きちんと精度を保つこと

私は今、医薬品原薬の研究補助というお仕事をしています。具体的には、原薬の晶析検討や物性評価が主な業務。もう14年もの間、同じ会社で就業させていただいています。

 

こうした業務って常に成功ばかりではないんです。中には、延々とネガティブデータばかりを取り続けるときもある。何度やっても次のステップに進めないデータばかり。いい結果が出るという保証はどこにもない。地道な作業ですし、根気も必要です。

 

そこで大切なのは、どれだけネガティブデータが出ても、「これはもういいデータが出ない」と最初から決めつけてしまわないこと。そういう先入観が、結果に何かしらの影響を及ぼしてしまうことってなくはないと思うんです。

 

常に同じ前提でなければ、そのデータは信頼に足るものとは言えない。きちんと精度を保ってデータを取るということは、私がこの仕事をする上で心がけていることのひとつです。

 
 

 

いざというときに自分というカードを切ってもらえる存在でいたい

私は特段自分のスキルが高いとは思っていません。だからこそ、職場の人たちと仕事をする上で意識しているのは、相手の意図していることを的確に読み取り、それを正確に実行すること。

 

やっぱり何かをお願いするときに1から10まで説明しなくちゃいけないのは手間ですよね。でも私なら、必要最低限のコミュニケーションでちゃんと伝わる。そうすれば、相手も助かると思うんです。

 

周りの人たちに「出来るだけ省エネして仕事を頼める存在」として認めてもらえることが、私にとってのやりがいのひとつ。そのためには、普段からわからないことがあったらわからないままにせず、ちゃんと聞くようにしています。

 

日常からきちんと意思疎通を図っておけば、忙しいときにコミュニケーションコストをカットしてもロスが生まれない。いざというときに自分というカードを切ってもらえる。そういう存在でいたいなと思っています。

 

 

 

出る杭にはなってもいいけど、棘にはなっちゃいけない

よく働く人のことを組織の歯車という言い方をしますよね。あの言葉って悪いニュアンスが含まれることが多いと思うのですが、私の考え方は逆。むしろ常に“いい歯車”でありたいと考えています。

 

一緒に働く人たちから「藤本さんならこの範疇の仕事は何も言わなくてもやってくれる」と信頼してもらえるのが理想。ただし、あくまで補助業務ですし、立場は派遣社員。その役割の違いもちゃんと理解しておくことが大事です。

 

私のやるべきことは、指揮命令者の考えていることを表現すること。そこの関係性を間違えてはいけないし、「自分の考えはこうだから」という勝手な判断で動いてはいけない。そこをしっかり踏まえた上で円滑に業務がまわるのが、“いい歯車”だと思うんです。

 

だからと言って自分の意志を持たないというわけではないし、主張をしないというわけでももちろんありません。

 

“出る杭にはなってもいいけど、棘にはなっちゃいけない”が私のモットー。そうやって周りも私も気持ちよくお仕事ができたら嬉しいなと思います。
 

Writer’s Eye

仕事はひとりでできるものではありません。だからこそ、最終的に求められるのは、スキル以上に、人柄やコミュニケーション能力の部分。常に周りを見渡しながら自分に求められているものは何か、どうすれば周囲に貢献できるかを客観的に分析できているバランス感覚こそが、藤本さんの大きな強みです。

 

困ったときに頼みやすい人は、どんな職場でも必要不可欠。サポート的な役割を期待されることの多い派遣社員だからこそ、藤本さんのようなスタッフは今後もますます求められていくことでしょう。
 

取材・文：横川良明